一流から学ぶ人としての在り方

岩崎峰子さんという女性をご存じでしょうか?
岩崎峰子(幼名 田中政子)さんは1949年京都山科生まれ。
4歳の時京都祇園甲部の「置屋 岩崎」の女将に見初められ、11歳で「置屋 岩崎」の跡取りとなり15歳で舞妓デビュー。
21歳で襟替えをして芸妓となるまでの6年間、売り上げNo.1の座を守り続けた伝説の女性。
29歳で引退するまで15年間休むことなく、数えきれないお座敷を勤め、舞の舞台を披露したとのこと。
花柳界は日本の伝統文化のひとつですが、その中でも特に歴史が古く規模も大きく格式が高いのが京都・祇園甲部。
その頃を振り返りながら正しい花柳界の姿を知らしめるため、2003年に発行されたのが『祇園の教訓〜昇る人、昇り切らずに終わる人』です。

日本のみならず世界の「一流」のお客さまをもてなす、究極の接客業を成し遂げた彼女が伝えてくれるものは私たちの日常においても参考になるものばかりです。
京セラの稲森和夫氏
ホンダの本田宗一郎氏
サントリーの佐治敬三氏
ワコールの塚本幸一氏
ノーベル物理学賞受賞の湯川秀樹氏…
彼女の御贔屓筋をあげればきりがありません。
類稀な美貌のためだけではなく、もちろんその関係性は、彼女がそれぞれのお客さまを惹きつけて止まない特別な心配りがあってこそのもの。
しかしもともと彼女は人付き合いが苦手な内向的な性格だそうです。
そんな彼女のモットーは「お客さまにお座敷でくつろいでいただいて、気持ち良くお仕事に復帰していただくことが自分の仕事。どれだけこれをパーフェクトにできるかということ」
このためお客さまを楽しませるための努力を惜しまず、自信を持つことが出来るまで、とにかく稽古に励んだとのことです。
また当初から29歳で引退すると心に誓っていたからこそ、仕事として割り切ってこれたのだといいます。
結婚・子育てを経て、今なお誤解されている花柳界の正しい文化を語り継ぐため、また引退後の舞妓や芸妓の人生を生計を立たせていける道筋を作るため、彼女は変革を訴え講演活動などを行っていらっしゃいます。

「自分に正直に生きること」を信念とし、幾つになっても活躍し続ける彼女の姿が眩しく輝いてみえるのは、私だけではないでしょう。